2013年03月09日

古事記と言霊・黄泉国

ここにその妹伊耶那美の命を相見まくおもほして、黄泉国(よもつくに)に追ひ往(い)でましき。ここに殿の縢戸(くみど)より出で向へたまふ時に、伊耶那岐の命語らひて詔りたまひしく、「愛(うつく)しき我が汝妹(なにも)の命、吾と我と作れる国、いまだ作り竟(を)へずあれば、還りまさね」と詔りたまひき。ここに伊耶那美の命の答へたまはく、「悔(くや)しかも、速(と)く来まさず。吾は黄泉戸喫(へぐひ)しつ。然れども愛しき我が汝兄(なせ)の命、入り来ませること恐(かしこ)し。かれ還りなむを。しまらく黄泉神(よもつかみ)と論(あげつら)はむ。我をな視たまひそ」と、かく白(もお)して、その殿内(とのぬち)に還り入りませるほど、いと久しくて待ちかねたまひき。かれ左の御髻(みみづら)に刺させる湯津爪櫛(ゆつつまくし)の男柱一箇(をはしらひとつ)取り闕(か)きて、一(ひと)つ火燭(びとも)して入り見たまふ時に、蛆(うじ)たかれころろぎて、頭(かしら)には大雷(おほいかづち)居り、胸には火(ほ)の雷居り、腹には黒雷居り、陰(ほと)には柝(さく)雷居り、左の手には若(わき)雷居り、右の手には土雷居り、左の足には鳴(なる)雷居り、右の足には伏(ふし)雷居り、并せて八くさの雷神成り居りき。


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